#49 告知に1歩踏みだせない、あなたへ
先週、日本産科婦人科学会・特定生殖補助医療に関する運用検討小委員会におきまして、廃案になった「特定生殖補助医療法案」についての講演をする機会をいただきました。 私からは「AIDは親の希望を叶える医療であると同時に、将来を生きる『子ども』の人生を始める医療でもある」だからこそ、 我々親と医療者が共有すべき最も大切な視点は、「治療前から子どもの視点で考える」ことだとお話させていただきました。
寺山 竜生
2025.11.26
読者限定
提供精子で親になった方たちの支援をしている私は、これまで多くの当事者の方と出会ってきました。その際に、告知するか?しないか?をはじめ、告知についての質問は多くいただきます。
私は、これまで「告知は子どもが産まれた直後から繰り返ししていくこと」とお伝えしていますが、一方で土地柄や親戚関係、夫婦の考えの違いなど、とりまく環境によって、告知自体が難しいと感じている方々がいらっしゃることも理解しています。
そのようなご家族に対しては、どんな環境でも今すぐ「血のつながりのないことを伝える」べきだと決めつけるようなことはしていません。なぜなら、夫婦の考えがまとまらないまま無理に行う告知は、子どもの心を深く傷つける『危険な告知』になりかねないからです。